「無重力下の墜落死」と「気密状態のステーション内の真空暴露」
という二つの特殊状況における怪死が扱われているSFミステリ。
どちらの謎も、義務教育レベルの理科知識をもとに、明快に解明されます。
(前者は、死体が与圧服を着ていた理由やタイトルが暗示する死因の変換、
後者は、現場のすぐ外側に、宇宙という真空の空間があることを利用した
ミスディレクションがそれぞれ秀逸でした)。
また、そうしたハウダニットだけでなく、仮想人格を持つ人工知能が存在するような世界
であってもけっしてなくなることのない、人の業を淵源とするホワイダニットも印象的です。
そして、“重力”を操ることで、現実に対して己の存在証明をしようとした犯人と、
自らの人格を電子化し、ネットの住人となることによって“重力”の呪縛から逃れ、
現実を超越しようとしたある科学者との対比は、生と死、現実と仮想といった概念
の変容と振幅を端的に形象化しているといえます。
This review was cited from Amazon.co.jp.
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