2010-06-27

うーん。けっこう絶句しますね ~~『潤一郎ラビリンス〈6〉異国綺談 (中公文庫)』

潤一郎ラビリンス〈6〉異国綺談 (中公文庫)
潤一郎ラビリンス〈6〉異国綺談 (中公文庫)

谷崎 潤一郎
中央公論社
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 うーん。けっこう絶句しますね2008-09-01
「異国奇談」というタイトルですが、さてどこに「異国」の雰囲気があるのでしょうか?「独探」は舞台は最初から最後まで日本です。たしかに狂言回しとしては、イタリア系のオーストリア人が登場しますが、最終的には、この狂言回しつまり現実の西欧に対する幻滅が前面に出てきます。もっとも、最後にタイトルの余韻を示唆するところは意外な展開ですが。次の2作はインド並びにインド人との関わりを持つ作品ですが、どちらも不思議な作品です。「玄弉三蔵」は必ずしもオリエンタリズム満載の異国情緒ものという印象はうけません。このように解釈されてしまうインドの現実面の現象ははかなり最近まで(60年代)存在したのではというのが私の実感です。「秦淮の夜」は作者の中国旅行をベースとした作品ですが、これは、このような個人的な経験が実際に文章に表現されたという意味では稀有の作品ですが、必ずしも舞台が中国である必要はないようです。「西湖の月」や「天鵞絨の夢」も同じような系統の作品ですが、構成の妙味と事件の連鎖という観点からは、後の推理小説の萌芽でもあり興味深い作品です。つまるところ異国はたしかに異国ですが、必ずしも選択された異国である必要はなかったようです。あくまでも谷崎の視角は女性へのエロチシズムなのです。実際に谷崎を西欧に長期に滞在させたときの反応がどうだっただろうかというのは答えのない仮説です。
Reviewed By A1D9TNH5HIQC3Z

This review was cited from Amazon.co.jp.


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